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事例紹介
株式会社寺岡精工様 事例
お客様によるセルフショッピングを実現
ハンディターミナルWizPodと「WizSystem」ができるまで
株式会社寺岡精工様
「WizSystem」でレジ待ち時間を大幅に短縮
寺岡精工は、昭和9年設立の老舗はかりメーカー。現在では、電子はかりを始め、自動倉庫管理システムといったPOSシステムや、リサイクル処理機といった幅広い分野で、機器、システムの製造、販売、保守を手がけている。
そんな寺岡精工が市場に投入した最新のセルフショッピングシステムシステムが「WizSystem」。そして、その中核をなすのがWindows CE5.0を採用したハンディターミナル「WizPod」である。
通常店舗でショッピングを行なう場合、買い物客は商品を持ってレジに向かい精算を済ます。しかしWizSystemは、WizPodを持った買い物客が自分でバーコード読み取することを前提に設計された。WizSystemを導入した店舗では、ひとり当たりの精算時間が短縮可能となり、買い物客はレジで長い待ち時間を浪費する必要がなくなる、というわけである。
システムを構成する3つの要素
バーコードを読み込ませると、WizPodの画面には、商品名、価格などが表示されるほか、読み込み済みの商品のリストを見たり、現在までの累計金額などを買い物客が確認できる。もちろん、購入の取り消しも可能だ。こうして商品を登録したWizPodをレジへ持っていくと、店員はPOSに接続した「WizStation」というクレイドルへ、WizPodを挿入する。すると、登録された購入情報が一気にPOSに転送され、精算が終了。精算にかかるの時間は、実質的には金銭の授受にかかる時間程度と、大幅に短縮される。
WizSystemを構成するもうひとつの要素が、WizPodの待機クレイドル「WizBase」だ。これは、WizPodを24個格納できるクレイドル棚で、充電のほか、サーバーと連動してWizPodが持つ商品や価格情報の更新の役割を担っている。
寺岡精工では、こうしたシステムを1年ほどで完成させた。その道のりはどのようなものだったのだろうか。
精算時間が、従来の1/10に短縮
成田 「買い物をするお客さんが最もストレスを感じるのが、レジの待ちの時間です。これに関しては、各社がさまざまな解決策を模索しているのですが、当社は、お客様自身にバーコードをスキャンしていただく端末として、WizPodという端末を開発しました。サブトータルを常に上部に表示しているので、レジに行かなくても総額を確認できますし、商品名などを見ながら、買い物を楽しんでいただけます」
精算が一瞬で済むのは前述のとおりだが、すでにバーコードのスキャンが終了しているため、別の買い物かごに商品を移動させる必要もない。このため、レジにおいて、通常は10点の買い物で30秒ほどの精算時間が必要だが、WizSystemでは3秒で精算が終了するという実験結果が出ているそうだ。
アドオン式で導入コストを低減
WizSystemのもうひとつのメリットは、他社製を含む既存のPOSシステムに、アドオン式に導入できる点だ。
成田 「POS端末には、ハンディスキャナが接続されているのですが、このインターフェイスにクレイドルを介して、 WizPodを接続します。ただ、WizPodに、商品の名前や売値といったデータを送り込む必要があります。これには、すでに既存のPOSシステムに導入されている弊社の棚札サーバを利用しますので、低いコストでWizSystemを導入できるようになっています」
WizPodのクレイドルは、他社製のPOS端末のインターフェイスに接続するためのユニットで、ハードウェアでプロトコルの変換を行なっているという。また、スーパーの店頭などで、液晶表示の値札をご覧になったことはないだろうか。あれを「棚札」というそうだが、表示される商品、価格情報を管理し、棚前を書き換えるシステムが、電子棚札サーバだ。このサーバもまた、他社製を含む既存のPOSシステムに接続できるため、多くの導入実績がある。ゆえに WizSystemが安価に導入できるというわけだ。なお、前述のとおり、商品、価格情報は、WizPodの待機場所であるWizBaseのクレイドルによってWizPodに書き込まれる。
成田 「お客さんにスキャンさせるのはちょっと、というお店でも、WizSystemは効果的です。たとえば、行列が長くなったレジで、ヘルプの人がWizPodであらかじめスキャンを行なえば、待ち行列を崩すことができるのです」
Windows CEにより開発期間が短縮
WizSystemの開発に関しては、どういう障害や苦労があったのだろうか。
成田 「実は、WizPod自体は、弊社が別に開発した端末をベースに作りこんでいます。これには、あらかじめWindows Embedded CE5.0が組み込まれていました。そのため、アプリケーションの作成は、CEのインターフェイスがあったので、結構楽でした。CEで端末を商品化した実績もありますし、開発期間を短縮できたのはCEが導入されていたためだと思います」
WizBase、WizStationがまったくの新規開発ハードウェアだが、WizPodのアプリケーションと合わせ、開発期間は4カ月ほど。また、4名のエンジニアが関わったが、フルタイムというほどではなかったという。
水田 「むしろ、システム全体の運用で、セキュリティ面の模索が大変でした。たとえば、お客さんが安い商品をスキャンし、高い商品をかごに入れるといったことも考えられます。そこで、1000円以上の商品を何点購入しているかがわかる『セキュリティコード』を表示するようにしました。店員さんが目視で不正がないかを確認しやすいようにしたわけです。こうした点は今後も向上を考えています」
とはいえ、経験上では、セルフレジの不正率はさほど高くなく、セルフスキャンが導入されても不正率は上がらないと想定しているという。 こうした努力と、既存にないシステムということもあり、多くの小売業がWizSystemに興味を示している。おかげでデモ機が足りず、うれしい悲鳴を上げている状態だという。
WizSystemが今後目指すもの
ちょっと気が早いが、今後のWizSystemはどう進化していくのだろうか。
水田 「さまざまな展開が考えられます。たとえば、より多くの商品情報を表示したり、場合によっては、WizPodだけで会計を済ませてもいいわけですよね。そうするともしかするとPOSに成り得るのかの知れません」
ただし、“できる”ことと“必要か”は別の問題だと、水田さんは指摘する。
成田 「WizPodに限らず、個人的には、無線がひとつのキーワードだと思っています。無線のデータ通信が始まって、いろんなブレークスルーがある。その最たるものが携帯電話なんでしょうが、たとえばWizPodを無線LANを搭載すれば、リアルタイムに価格情報の変更が可能になるので、たとえば突然のタイムサービスにも対応できる。無線という世界に飛び込んだことで、さまざまなシステムが今後可能になり、実際に登場してくるでしょうね」
WizPodのベースとなった汎用端末の開発
WizPodは、同じ社内で開発された汎用端末をベースにして製作されている。今回は、端末を開発した森澤さんにお話をうかがった。まずは、端末のスペック概要から。
森澤 「CPUは、シャープのARM 400MHzです。そこに64MBのフラッシュが搭載されていて、CEなどが載っています。記憶媒体はSDカードで、標準では512MBのものを使っています」
スキャナ部には、ユニダックスから調達したsymbol社製のモジュールが使われているという。リファレンスボードからはじめ、全体を設計。“動く”という状態になったのが、わずか3カ月後のことだ。
森澤 「寝ないでやっていましたから(笑)。ただ、安定して動作するというレベルになったのはようやく最近ですから、開発期間はそれプラス1年といったところです」
それでも開発期間は短い。開発に関わった方は何人ぐらいいるのだろうか。
森澤 「ハードが7人、ソフトウェア部隊が7〜8人。それからベンダーさんが4社。OSの構築をお願いした1社と、あとはドライバの部分で3社ですね」
製品開発のキモは、ドライバの開発だった
CEを採用したことにより、アプリケーションの開発が楽になったと森澤さんはいう。WizSystemのアプリケーション開発については以前の連載でも触れたが、端末の開発現場ではデバイスドライバの動作検証用アプリを開発している。半面、ドライバの開発には苦労があったようだ。
森澤 「新規に開発する必要のあったドライバは、スキャナ、LAN、ブルートゥース、パワーマネージメント、 LED、ブザーといったところです。このうちスキャナのドライバがいちばん苦労したところですね。というのも、本体とモジュールはUSB接続されていて、スキャナを常にオンにしておくと電力の消費も激しいのでUSBサスペンドをかけるんです。ところが、レジュームしたときにモジュールと切断したような状態になって。最終的にはユニダックスさんの協力でUSBサスペンドの処理を実装できました」
堅牢性が求められるハンディ端末
森澤さんにドライバ開発の苦労についてうかがった。
森澤 「パワーマネージメントにも苦労しました。最初になんとか“動く”という状態のときには、バッテリが1時間も持たなかった。そして持てないくらい熱くなる(笑)」
そこから、あらゆるドライバに省電力機能を加え、チューンを行なった。デバイスの仕様書だけではわからないことも多く、実際、液晶メーカーまで出向いて説明をお願いしたこともあるという。前回、「開発期間はそれプラス1年」とうかがったが、ドライバのチューンに1年をかけたことになる。ただ、こうした端末では、そうしたデバッグ作業はめずらしくはないという。
では、ドライバ以外で腐心された点は何だろう。
森澤 「ハンディターミナルですから、落下ですね。WizPodを見てもらうとわかるように、両端は衝撃吸収用のゴムで覆われる設計になっています。規定の落下耐性テストはするのですが、ある日、現場に偉い人が来て、いきなり投げられてふんずけられたことがあるんですよ(笑)。僕も見ていて一瞬青ざめましたが、それでも壊れませんでした」
ずいぶん無茶な話だが、スーパーなどでの利用を考えると、子供が遊びで投げることも考えられる。また、生鮮食料品によっては、水分が付着することもある。衝撃対策や生活防水といった予防は欠かせない。
CEならではの汎用性を生かす
最後に、今後の製品の展開について聞いた。
森澤 「すでに、スーパー以外の分野向けに、端末を改良する計画があります。また、海外にWizSysteそのものを展開するすることも考えられます。ただし、海外の場合はハードでの提供になるでしょう。商ルールも違うし、流すデータも違いますから。いずれの場合にせよ、CEをベースとしているのでアプリケーションの開発は容易でしょうね。CEを採用したことで、製品の汎用性が高まり、さまざまな応用を実現できるという結果が必ず現われると思います」
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