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事例紹介
横河電機株式会社様 事例
組込み機器の開発を加速する
デジタルオシロスコープの開発
横河電機株式会社様
高速表示の実現で、デッドタイムを削減
横河電機では、古くからオシロスコープとロジックアナライザを組み合わせた「ミックスドシグナルスコープ」を手がけている。今回の「DL9710L」もアナログ4ch+デジタル32chに対応したスコープで、Windows CEを搭載した「DL9000」シリーズの2機種目に当たる。まずは、その特徴をおうかがいした。
清水 「最大の特徴は、アナログとデジタルが混在する環境を、1台で測定、解析できることです。その意味で、まさにESECに来ているお客さんに使っていただきたい製品です(笑)。従来、デジタルオシロスコープは、“遅い”といわれていました。9000シリーズの最大の売りは、それを改善した高速な処理と、2000もの波形を記録できるヒストリメモリ機能です」
60Hzで書き換える液晶画面では、たとえば瞬間的に発生する異常波形を捉えられない。そこで、DL9000シリーズでは、内部的に秒間2万5000もの波形を補足。演算処理で画面表示を行なうほか、解析も可能としている。また、過去の波形も2000画面が記憶できる。こちらは、条件を設定して自動保存が可能で、すべてを重ねて表示したり、振幅などの条件で表示するデータを検索できる。
高度な解析機能で、機器のデバッグをサポート
ロジック部分に注目すると、DL9710Lでは、I2C、SPI、CAN、LINといった汎用バスの解析機能をオプションで提供している。この解析速度が他社よりも速いというのも、DL9710Lの特徴的な機能だという。
清水 「たとえば、バスの波形を補足しながら、データをバイナリに変換表示する機能があるのですが、リアルタイム表示ができるのは弊社だけの機能です」
これにより、開発者はストレスなくトラブルシューティングに専念できる。また、ロジック信号をDA変換演算し、アナログ波形で表示する機能もある。さらに、ヒストグラム解析などの波形解析機能も搭載しており、ロジックデータをリアルタイムに視覚化して、評価が可能だ。
清水 「やっぱりオシロスコープはリアルタイム性が求められる装置ですから。そういうわけで他社にはない高速性にこだわりましたし、視覚化の機能もお客様に大変評価しただいております」
世代交代を機会に、OSの変更を検討
はじめてWindows Embedded CE4.2を、オスロスコープに採用することを検討し始めたのは、’02年のこと。1号機が登場するのが’05年だ。
薬袋 「プラットホームを変更するということで、選定の調査に慎重に時間をかけました。CPUとOSを合わせて検討したんですが、そのなかでCEというのが有力に。そこでSH4と評価ボードを購入して、DSPを乗せて、さまざまなソフトをつくって、パフォーマンスを測定しました。つまり、すぐ動かせる環境があったんですね。Platform Builderはユニダックスさんから購入しました(笑)」
アプリケーション側に開発力を集中
OSの変更に踏み切ったのには、最近の計測器がPCとの連携を強めているという理由があった。たとえば、ネットワークでは、それまではFTPや自社開発のプロトコルでPCと接続していたという。
薬袋 「もうひとつ、イーサネットやUSBのデバイスドライバが非常に大変だったんです。以前使っていたOSは、軽くするという意味もあって階層化がされていなかったんですが、そうすると、ドライバなどが流通しなくて、全部自社開発しなければならない。我々の目的は、あくまで測定器に付加価値を付けることであり、そうした部分に開発のリソースを割きたくなかったのです」
CEの導入で、開発はどう変わったのだろうか。
薬袋 「ちょうど世代交代の製品なので、1からすべて再構築したため、開発期間の比較は難しいですね。ただ、ソフト開発全体で15人ほどが関わっていたのですが、下位の部分は2名ですみ、ほかはアプリケーション側に専念できました」
開発に当たっては、マイクロソフトのプレミアムサポートを利用し、CEの構築、利用方法、下位レイヤーについて、さまざまなアドバイスを受けた。従来型で開発を行なえば、下位のレベルにもっと多くの人間を割かなければならなかったと、薬袋さんは振り返る。
CEを選択したメリットとは
DL9000シリーズには、波形を捉え、リアルタイムに演算処理を行なうなどのために、専用のエンジン「ADSE」チップを搭載している。Windows CE側からは、どのようにコントロールしているのだろう。
薬袋 「前回もリアルタイムにこだわった話をしましたが、たとえばドライバ経由でコントロールすると、遅くなるのです。詳しくお話しすると専門的になりすぎるのですが、CEは、アプリケーションから直接ハードウェアを操作できるように設計されていて、専用のAPIも用意されています。そういう意味では、速度を追求するため、CEの機能はかなりしゃぶりつくしました(笑)」
片野 「もうひとついうと、以前のOSは階層化されておらず、すべてアプリケーション側で処理をしていました。そうした開発スタイルを踏襲するという点も、CEを選択した理由のひとつです」
敷居の低い開発環境が、最大のメリット
DL9710Lの開発は、昨年4月にスタート。今年2月に販売が開始されている。従来機に比べ、デジタルch数が増えたこともあり、ダイアログなどのGUIを新たにつくり込み、使い勝手を向上した。
薬袋「CE はOSもいいんですが、開発環境がすばらしい(笑)。たとえば、15人の開発チームがいても、試作機が15台あるわけじゃない。そこで、試作機と同じ画面が現われるPC上のシミュレータを用意してあります。GUIは、PC上でクロスで開発するんですが、そこで使うVisual Studioと、CEのeMbedded Visual C++が、ほとんど使い勝手が一緒なんです。おまけにAPIもほぼ同じ。なのでソースはほぼ1本ですね」
以前は、シミュレータと試作機で、スイッチを使ってプリプロセッサでソースを分けていたが、今はそんな苦労もなくなった。
薬袋「何がいいかと聞かれると、いつも開発環境って答えているんですよ(笑)。若い人も、プログラムできる人は今はみんなVisual Studioなんですね。情報処理系の大学を出た人も、Visual Studio。今は組込みが注目されて、少しはほかの開発環境を学ぶ学生もいるようですが。だから、開発者としては、CEを採用して、すんなり入れるのが、いちばんよかったと思ってます」
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