エンジニアコラム

世間によくあるWindows CEに対する疑問   

エンジニア・コラム

高根 英哉 さん [ コムラッド 代表取締役・マイクロソフト認定MVP ]

第4回:Windows CEの資産活用法

ハードウエアの進化は目覚ましいものがあります。大容量、高速化、低価格化、省スペース、省電力などなど。我々ソフト屋の環境は日夜変化し、対応を求められます。ハードウエアの新しい技術を商品に反映し、消費者に還元するのは当然ソフト屋の義務です。しかし、そのたびに膨大な費用と時間がかかるようでは効果は限りなく薄くなってしまいます。組込みOSはハードウエアの急速な変化にも柔軟に対応できるものが望ましいと言えます。


「Windows CE 2.0で開発された機器をWindows CE 6.0に移植したい」お客様からこんな相談を受けました。Window CE 2.0はもう10年以上前に発表されたOSですからずいぶんと長持ちしたものです。話をよくよく聞くと、別に機能として不便を感じているわけではないが、ハードウエアの調達が困難になり、ハードウエア環境を一新することになったので、この機会にOSごと更新したいということのようです。機能としては十分なのにハードウエアの調達が困難がゆえにOS環境を更新せざるを得ないというのはよく聞く話です。ハードウエアの進化の早さは寿命の短さにも通じるため、メーカーは常に調達との戦いになるわけです。もちろん更新すれば冒頭に述べた恩恵を受けられるわけですから、やる価値は十分にありますが、動機付けに欠けることになります。


さて、このような事情ではじまった相談ではありますが、お客様が想像する以上に開発する部分は出てきてしまいます。当然、一番近い環境のBSPとハードウエアを選択するわけですが、CE 2.0 から6.0ではアーキテクチャもかなり変化しており、OSばかりか、アプリケーションにもかなり手を加える必要がでてきます。お客様としてはアプリケーションの見た目も機能もそのままでよいと思っても、組込みの世界ではPC以上にOSとアプリケーションは密に繋がるため、OSの変化はそのままアプリケーションの改造を意味することが多いためです。さらに言うなら、ハードウエアの微妙な癖などをアプリケーションで吸収していることなどもあり、改造は多岐に及ぶわけです。
今回の場合、4バージョン超えですし、10年前に開発されたものですから、当時の担当者が継続できるのは稀で、ドキュメントを頼りに新たに開発したり、場合によってはドキュメントすら存在せず、マニュアルがすべてということもありえるわけです。もう資産といえるものはほとんど失ってしまうことになります。


このような問題に対応できる一つのヒントを最近の案件で知りました。お客様は.net compactframework(以下NETCF)上にアプリケーションを開発したいというのです。別にネット上からアプリケーションをダウンロードさせるわけではないのですが、中間にフレームワークが入ることにより、アプリケーション資産の寿命が大幅に延びると考えたためです。確かに、たとえばNETCF 2.0は多くの世代のWindows CEで動作しますし、NETCF 3.0や3.5になってもエンジンは同じものですから、OS依存に比較して延命効果は高いと言えます。さらにOSのバージョンアップもNETCFが動作する環境作りということで視野を広げてみることもできます。多少の不自由さやパフォーマンスの犠牲もありますが、アプリケーションを長い目で見たとき、NETCFという中間フレームワークを介することはメリットが多いように感じました。今、LinuxでもAndroidが注目を集めていますが、やはりこれも同様の理由によるところが大きいのだと思います。


組込みの世界でもアプリケーションはOSに依存しないように開発する時代になったのかもしれません。

<< 第3回: Windows CEの情報が少ない?

第5回: 省電力のすすめ  >>