エンジニアコラム

革新的コンピュータ制御   

エンジニア・コラム

町井 和美 さん [ 株式会社マイクロネット テクニカルマネージャ ]

第5回:INtimeの応用事例

INtimeの導入によってWindows Embedded Standardにリアルタイム制御能力が加わり、システムの可能性が大きく広がります。最終回の今回はWindowsとINtimeの組み合わせによって実現された、さまざまな分野のシステム事例を御紹介します。

■半導体製造装置、半導体検査装置
半導体の製造工程は多岐にわたりますが、精密さ、タクトタイムの短縮が厳格な分野です。このためこの分野にRTOSは欠かせません。INtimeがこの分野に選択される理由の一つは、製造状況などの膨大な情報管理にもあります。WindowsはPLCやボードコンピュータに比べれば高度なコンピュータネットワーク技術や、データベースが発達しているうえ、CPUの性能も一桁異なります。豊富な資産があるから新規開発の必要もなく即応用できる利点があります。

■工作機械
工作機械では多軸によるモーションコントロールと、その精度が重要です。またオペレータとのインターフェースは簡略でありながら、高度な操作が行えなければならず、ノウハウがとても多く詰まった分野です。人間とのインターフェースという面ではWindowsは最適。複雑で高精度なモーションコントロールはINtimeアプリケーションが実現します。装置の一部機能をカスタマイズできるよう構成する必要があるならば、国際標準規格IEC61131-3対応のPLCエンジン(INplc)がINtime用に用意されており、ご活用いただけます。

■医療機器
放射線診断装置や磁気共鳴撮像装置は人体の診断に用いられる大型の装置ですが、遠隔から安全に操作できなければなりません。また画像解析も今後更に求められる技術です。装置の制御と、高度な画像解析をINtimeとWindowsで両立できます。

■ロボット
産業用ロボットなどには表示系が必要でない場合もあります。INtimeはWindowsを導入せずに単独でブートすることにも対応していて、この構成に変えた場合でもINtimeアプリケーションの変更は不要です。高性能、省電力、小型なAtomプロセッサを応用することが最適です。

■セキュリティ
ビルや駐車場、公共施設などのセキュリティでは、入退場管理、施錠管理、侵入監視が必要になります。施設そのものの規模が大型化していることもあって、省配線技術も重要な技術です。これにはEtherCATなどのリアルタイムフィールドバス技術が活用できます。INtimeのEtherCAT-masterスタックは標準Ethernetポートをリアルタイム制御することで、通信インターフェースカードの拡張無しにほぼ無制限のI/O拡張が可能です。セキュリティ認証方式も非接触ICカード、生体認証などの高度化が進行しているのでマイコンで実現するには限界があります。監視カメラによる移動体追尾や録画などのニーズにもWindowsならば追従可能です。

■プラント
通年、休むことなく稼働を続けなければならない鉄鋼プラントなどでは何よりも信頼性が重要です。一般にコンピュータや通信回線は二重化が敷設されますが、工業用PCや通信拡張カードなどは安価であることや、アーキテクチャ自体は互換性を保ち続けるので長期にわたる保守・保全にも答えられます。


以上のように、INtimeとWindowsによるソリューションでは、それぞれの利点をうまく活用した設計・開発が可能となり、これまでにない効率的なシステム構造や、これまでにない付加価値を生み出せます。誰にも思いつかない応用がまだまだあるはずです。INtimeとWindowsによるソリューションで、革新的な製品を生み出していってください。